■『空中ブランコ』奥田 英朗 著作■

レバレッジ効果

2008年12月27日 00:49

奥田 英朗氏は、岐阜県出身の推理小説作家です。近隣の出身者というだけで少し親近感がわいてきませんか?
『空中ブランコ』は、直木賞を受賞した作品です。単行本と文庫本があります。この作品は何編かの短い話で構成されています。精神科医の伊良部先生が登場するシリーズです。伊良部先生が主人公で、精神科に来院する患者の病気を治療して行く、チョッとしたドタバタ話が非常に面白いです。伊良部先生も精神科医として異質な所があります。しかし、そう見えても、決めてくれます。この作品以外の『イン ザ プール』等にも登場します。

【あらすじ】
本の中から、一部だけ…。本のタイトルになっている『空中ブランコ』という話です。
地方公演をしているあるサーカス団で、空中ブランコのリーダーが患者として、精神科医の伊良部先生の所にやって来ました。そのリーダーは、最近、空中ブランコショーで失敗し、下のネットに落下する事をひどく気にしていた。たまに、失敗するならば、仕方ない。でも、頻繁に落下を繰り返すようになった。リーダーは、周囲の空中ブランコ仲間達が自分を陥れようと画策しているのではないかと疑い始めた。そして、空中ブランコ仲間達にも指導・注意を厳しくした。時には、鉄拳制裁をした。…(詳細は本を読んでください)…それでも、相変わらずリーダーが空中ブランコをした時には、受けて側の腕とタイミングが合わず、落下してしまう。怒り心頭で、リーダーは自分が空中ブランコをする時の周囲の人間の動きをビデオで録画するように、女に指示した。録画をすれば、失敗するように仕向ける者を見つけ出せると思った。そして、空中ブランコショーで、リーダーは落下した。リーダーはビデオを再生し、確認した。女には周囲の人間の動きを録画するように言ったのに、自分の演技の模様のみしか映っていない。何故だと…と思いながら、ビデオを見ていた。これでも、受け手側の腕の位置やブランコの上がり具合を見れる。そして、リーダーは愕然とした。腰が引けているではないか…。それは、リーダー自身の腰であり、リーダーの腰が引けている。今迄、周囲の人間の仕業と睨んでいたが、実は自分自身の腰が引けている為、受け手側の腕に届かない。誰もがこの事をリーダーに言えなかった。そんなリーダーの腕を受けようと、頑張った受け手側も、リーダーの腕まで届かなかった…。
ここには、書きませんでしたが、話の途中で伊良部先生が、空中ブランコを体験するシーンなどで、何度かサーカスの練習を見に来ていた。…(詳細は本を読んでください)…

★奥田 英朗氏の作品で、伊良部先生の登場するシリーズは全て読みました。全部、非常に面白いです。本を読みながら、笑いが声になります。…周囲に他人がいる場合は、ご注意願います。

今回は、ここまで!